こんにちは!アドベントカレンダー12日目はアシスタントデザイナーの八田誠太朗が担当します。

2025年7月、neccoでは株式会社フクルさまの紹介パンフレットを2025年版にアップデートさせていただきました。

開いたパンフレットを二つ重ねた画像
デザインさせていただいた中で、特に思い入れのある見開き2ページ

今回、僕がそのデザインを担当しました。

学生の頃、一年次はポスターや本の装丁などの紙媒体も作っていましたが、ここ最近はほとんど作ることはなく……
加えてアシスタントとして初めての印刷物のデザイン!
学びが非常に多かったため、振り返れるように記事として知ったこと、感じたことを残したいと思います。

今回のアップデートについて

2024年にパンフレットを制作してからの1年間で、フクルさまのサービスは「FiTO見積り」に加えて以下の2つがリリースされました。

(サービスの充実に伴い、ブランドサイトという形で全サービスのハブとなるサイトも公開されました)

さらに、環境に配慮した服づくりの取り組みとして、いつ、どこで、だれがといった生産過程を明確にする「トレーサビリティ」情報の公開も、ウェブやSNSを通して発信できる形でスタートしています。

今回のアップデートでは、これら3つのサービスとトレーサビリティに加え、以前から取り組まれていた「カーボン・オフセット」についても、より詳しくご紹介できる内容へと改善しました。

ページ数も8ページから12ページに増え、既存のパンフレットのデザインや世界観を活かしながら構成を見直し、内容をより充実させるアップデートを行いました。

パンフレット制作の流れ

  1. ワイヤー作成
  2. Figmaでデザイン
  3. Illustratorで展開・調整
  4. 入稿

文章や画像などの構成、ワイヤー作成はディレクターの冬菜さんが行ったので、僕はそこから入稿までを担当しました。

Figmaでのデザイン

初っ端ですがここが一番苦戦しました。

ディレクターの冬菜さんから渡されたワイヤーをもとにデザインを始めましたが、この段階ですでに整えられている!

冬菜さんからいただいたワイヤー

イラストやあしらいなどは仮置きですが、この時の自分からすると、フォントや配置などかなり綺麗に整えられていると感じました。ワイヤーの時点からもうデザインされたものに見え、「どうしよう……」と悩んだ記憶があります。
あとあと冬菜さんから「もともと初版のデザインをつくったのが私だったから、ワイヤーといいつつデザインに近いものになってた」とお聞きしました。自然とデザインをさらに改善するという状況になっていたことも、難しさを感じる一因だったのかもしれません。

しかしデザインを任された身。なにもできないとは言ってられないので、より読みやすく、デザインされたものにすべく、色々やれることを試してみます。

あしらいを加えてみたり、文字組みをより細かくやってみたり、文字ジャンプ率をよりしっかりつけてみたり。

ワイヤーと初稿を見比べ。ほとんど同じ印象になってしまいました。

……が、ワイヤーとほとんど印象が変わらず。
ここからいくつか調整などを行いましたが、初稿からほとんど変化のない状態がしばらく続きます。

今だから思うことですがこの時は本当に小手先のことばかりやっていました。
ワイヤーにある要素をそのまま調整したり、差し替えたりなど。そりゃワイヤーから抜け出せないし読みやすい構成やデザインにもならないわけだって思います。

もう少し違うところに目を向けないと……

この時、テキストなどの要素をいじるよりもっと広く、配置や構造に意識を向けてみました。
もとある要素に縛られすぎず、一度まっさらに考えてみることに。

少し見方を変えた時のデザイン。ようやくデザインにしていける予感がしました。

そうして調整したものがこちらになります。

ワイヤーでは上下のテキストたちで画像を挟む形でしたが、より画像を大きくつかった2分割に。
テキストをよりコンパクトにまとめて、見るところと読むところをしっかり分けた構成です。

デザインを見る時に頭の中で考えていたイメージ

配置されているものにとらわれず、大きな塊で見てみる。そうすると「もっと情報は一塊にしておいた方が見やすいかな」「写真は最初にしっかり見せた方がいいかもしれない」
なんだかそれまでよりも、見た目だけに囚われず、しっかりと目的を持って考えれていた気がします

大胆さが正義というわけではないのでしょうが、それくらいの変化も視野にいろんなものに対して疑い、

「今はこうだけど何かできないか」
「もっと違う部分に手を加えるべきなんじゃないか」
「なんでここを変えようとしてるんだっけ」

といった感じで、立ち返ったり、見る視点を行き来してみたりすることが大切だと感じました。ここがきっかけで今でもそういった考え方や制作する上での動き方を意識するようにしています。

Illustratorでのデザイン

大まかなデザインが決まり、次の工程はIllustratorでの作業へ。
文字詰めや要素の位置や大きさなど、より細かくデザインを作り込んでいきます。

いよいよ印刷に向けたデザインづくりへ突入。
ここでも新たな学びや改めて意識しなくてはと感じたことがありました。

Illustratorでデザインする際の単位の話

Illustratorで作業をし始めた時に環境設定の「単位」について教えていただきました。

「ミリミリ級歯」
先輩方からいただいた言葉。なんだか必殺技みたいですね。
ま、もちろんそんなことはなく、以下のようなIllustrator上での単位設定のことになります。

Illustratorの環境設定画面
「環境設定(⌘K)」の「単位」から設定を変えることができます。


初期設定ではptになっていますが、それとの違いはこんな感じ

  • 歯と級:日本独自の行間と文字サイズで、0.25mmごとにサイズが変化
  • pt : 1/72インチごとにサイズが変化。メートルで換算すると0.3528mm

メートル法で考える僕たちからすると歯、級の方が計算しやすく、考えやすいですね…..
また、インチでは日本の定規がほぼ対応していないので実物の大きさの確認がしづらく、こういう点においても「ミリミリ級歯」のほうがいいと感じます。
この辺りの設定は触っていない人も多いと思うので、ぜひ確認して「ミリミリ級歯」を唱えながら変更してみてください。

少し間話になってしまいました。知ってる方は多いでしょうが、そうでない方のためにもここに残しておきます。

印刷物でも数値を整える意識

もう一つ、要素などの数値を整えることについても先輩方から教えていただきました。

「できるだけ数値は正数に整える」

少数などの端数をなくし、計算しやすく、整理しやすい綺麗なデータ作りが大切だと知りました。
思えば、デザインでは余白や要素同士の距離感やサイズ差などが常に考えられていて、その時に自分の感覚だけでなく「数字」をみることも多いですし確信も持ちやすいです。そう思うと、常に使いやすい値で考えてあげることは今後のためになると感じます。

正直、この制作で学んだことの中で一番印象深いことでした。実装やレスポンシブの絡むウェブでは数値を整えることにかなり意識がありましたが、印刷物に対しては全くなく……もちろん要素を等間隔や端で揃えたりなど、整えることに関しては意識して制作を行なっていましたが数値にまでは気をまわせていなかったですね。

今では動画制作でも数値を意識して制作を行なっています。特にフレーム数や秒数で、0.5秒や1秒、1秒を24フレームした時の8フレームや12フレームなど、きっちり割った数で動きの起点を作るようにしています。タイミングを合わせたり、動画の長さを考えたりする際に、以前よりも作りやすくなりました。

怒涛のレビューと修正を繰り返しながらブラッシュアップ

デザインも9割ほど完成し、あとは文字詰めや要素の細かな位置調整などを繰り返しました。
この段階になると、書き出した画像でのデザインレビューに加え、印刷したものを通してのレビューも受けます。この時、印刷しまくった用紙は今でもしっかり保存しています(笑)自分のカーニングの癖や余白感など、レビューのたびに感覚が更新されていくのを感じました。

怒涛のデザインレビュー in Figma
修正とレビューを繰り返していく中でたまっていった用紙たち

提出が近く、1日おきに修正とレビューを繰り返していたため、作業のタスク化やスピードがここで鍛えられた気がします。

とうとう制作も終わり、入稿作業

デザインも終わり、入稿へ。トンボや縦横のマージンは揃っているか、壊れている部分はないか、などなどデータに不備はないかをしっかりと確認します。この時、先輩デザイナーの今さんと小雪さんに手伝っていただきなんとか入稿することができました。本当にありがとうございました!

ちなみに、今回の印刷はグラフィックさんを利用させていただきましたが、入稿の際はプラグインを通してIllustrator内だけでスムーズに進めることができました。個人的に革命だと感じた(知らなかっただけ)ので共有しておきます。皆さんも利用してみてください〜

パンフレットを読んでいる写真
3つのパンフレットが開き重なっている写真
パンフレットを開いている写真
パンフレットの表紙と裏表紙をむけ、扇状に重ねている写真

このリニューアルを通して学んだことと今に活きていること

こうして、フクルさんのパンフレットを2025年版にアップデートすることができました。
自分の力不足もあり、デザインを依頼されてからかなりの時間をかけてしまいましたが無事入稿まで持って行けてよかったです。

今回のパンフレット制作では多くのことを感じて、知って、学ぶことができました。

  • デザイン作成時に一部分にとらわれないように視点を変えたり、立ち返ったり、変化を常に考える。
  • 見た目だけでなく、数値なども整える意識を持つ。
  • タスク整理時、優先度の付け方や、作業をどのくらい分けるかの感覚。

全てができるように、わかるようになったわけではありませんし、ここで得たことが間違いないことなのかはわかりませんが、確実に自分を成長させてくれたと思っています。

作業の分解とタスク化、映像などの画面デザイン。この辺りは間違いなくこの時の経験が活きています。

パンフレットのアップデートを依頼していただいたフクルさんとレビューやアドバイスをしていただいた阿部さん、冬菜さん、今さん、小雪さん、ありがとうございました!!

ちなみに、この記事のアイキャッチも今さん、小雪さん、冬菜さんにお手伝いいただきました……!感謝の気持ちと共に、まだまだ成長していかなくてはという気持ちも強くなりました。

アイキャッチのbeforeとafter
この記事のアイキャッチの初稿と、皆さんで調整した案

レビューしていただいて完成したアイキャッチがこちらになります!

おわりに

ここまで記事を読んでくださりありがとうございました〜!

アシスタント1年目のやってることや正直な気持ちを書かせていただきました。学生の方や、デザイン会社に入りたいと考えている方に、どんなことをしてるのか、どんな風に働いているのか、少しでも参考になれたら嬉しいです!

また、これは嬉しいお知らせなのですが、今回作成したパンフレットに掲載されているFiTOは、2025年度グッドデザイン賞を受賞しました!フクルさま、おめでとうございます!

最終審査の展示には、今回アップデートしたパンフレットもご活用いただいていました。

グッドデザイン賞受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2025」

受賞後の展示「GOOD DESIGN EXHIBITION 2025」会場では、冬菜さん、阿部さんが構成を作成し、今さんがデザインを担当したA1サイズのパネルが展示されていました。僕はFigmaで作ってもらった構成案を、Illustratorに起こすところをお手伝いしました。

受賞に関する詳細や、FiTOとneccoのこれまでについては、下記の記事で公開しています。ぜひ読んでいただけると嬉しいです!

以上、アドベントカレンダー12日目の記事でした!

まだまだアドベントカレンダーは続きます!引き続きneccoメンバーの伝えたいことや振り返り、学んだことなどをブログとして投稿していきます。

明日もお楽しみに〜👋


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2025年12月3日更新

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