neccoでは、お客さまのウェブサイトの文章を作成する際、2通りの方法があります。

  1. neccoがベースとなる文章を作成する
  2. お客さまからベースとなる文章をご提供いただき、neccoがリライトする(書き直す)

この記事では、2の場合に、エディター・ディレクターとして心がけていることをご紹介します。

こんな文章がきたけどどうする?といった具体例と、その対策についてもまとめましたので、ぜひご覧ください!

【基本編】 リライトの基本原則3点

前提:ヒアリング・調査は当然!

誰が文章を作成するかにかかわらず、エディター・ディレクターとしてもっとも重要視しているのは、お客さまへのヒアリングや調査、情報収集です。プロジェクトスタート時に下記をおこなうことで、企業やサービスについて理解を深めます。

  • お客さまへヒアリングをおこない、現状の課題やウェブサイト制作の最終目的を理解する
  • お客さまから参考となる資料を提供いただき、お客さまの事業やサービスを理解する
  • 関連記事や代表インタビューなどを読み、お客さまの考えや方針を理解する
ソウゾウの森プロジェクトのヒアリングシート
ヒアリングシートの例

上の画像は、neccoがプロジェクトキックオフ時にお客さまにご記入いただくヒアリングシートです。

「組織・サービスの歴史・ストーリー・ルーツ」「ネーミングの由来」「サービスの独自性・提供価値」「理想の顧客像」「大切にしていること」「もやっとした悩み」など、多数の質問に回答いただき、これをもとにライティングやリライトを進めます。

その1:ターゲットに合わせた「トーン&マナー」の調整

お客さまの企業イメージやターゲットに合わせてリライトしていきます。

たとえば、読み手であるターゲットに親しみやすさや柔らかいイメージを与えたい場合は、「だ・である調」ではなく、「です・ます調」にします。
漢字が続くと難解なイメージを与えてしまうため、適度にひらく(ひらがなにする)ことで余白をつくり、親しみやすい印象をつくります。
また、意識的に読点(、)を打ち、読みやすいリズムをつくることも大切です。

漢字をひらく例

  • 「お客様」→「お客さま」
  • 「私たち」→「わたしたち」
  • 「様々」→「さまざま」
  • 「お薦め」→「おすすめ」

その2:読者の離脱をふせぐ「論理的な流れ」の構築

読者がつまずくことなくスムーズに読み進められるよう、また、読者が途中で離脱しないよう、文章全体の接続詞や文脈の自然な流れを確認し、調整します。

とくに重要なのは、「ねじれ」の解消です。主語と述語の関係がねじれている文章は、読者に違和感やストレスを与えてしまいます。ねじれが生じないよう、「ひとつの文章にひとつのメッセージ」を原則として、読者が迷子にならない文章構造へとリライトします。

その3:「視覚的な読みやすさ」の改善

長すぎる文章は読者への心理的負担が大きくなってしまいます。また、パソコンやスマートフォンで見た場合に読みづらくなるため、一文一文を適度な長さに区切ると、読みやすくなります。情報をリスト(箇条書き)で区切るのも、ひとつの手です。

言葉・文章もデザインのひとつとしてとらえ、視覚的な読みやすさに考慮してリライトすると、より読者に寄り添うウェブサイトになると考えます。

【実践編】 ベース文章の「あるある」と、リライトの具体策

ここからは、お客さまからいただくベース文章でよくあるケースと、その具体的な対処法をご紹介します。

ケース1: 専門用語や英語・略語が多い

専門性が高い業種は、どうしても専門用語や英語・略語が多くなってしまいます。そんなときは、「ターゲットのユーザーが理解できるか」を判断基準として、下記のような方法でリライトを行うことが必要となります。

  • 専門用語を、簡単な言葉に置き換える
  • 英語や略語を使用せず、できるかぎり日本語・正式名称に修正する
  • 専門用語を使用する場合は、カッコや注釈をつけて補足説明を加える

ケース2: 抽象的な表現が多い

例えば「このサービスはお客さまに好評です」といった抽象的な表現は、どうして好評なのかわからず、イマイチ説得力がありません。また、よくある「想いをカタチに」「感動を届ける」などの表現も、具体的に何をどうしたいかが不明なので、ぼんやりした印象になってしまいます。

抽象的な文章のリライト例

  • 「わたしたちの商品はすばらしいです」→「〇〇〇の点で業界トップクラスの評価をいただいています」
  • 「お客さまに感動を届けたい」→「〇〇〇なサポート体制で、お客さまの不安を解消します」

このように、抽象的な表現を、具体的な数字や実績、ユーザーの声にもとづいた表現に変換することで、説得力や信頼性を高めます。

例外:「生の声」を伝える場合

わたしはインタビュー記事や対談記事を作成したり、感想コメントを校正・リライトをすることも多いのですが、その際に気をつけているのは「リライトしすぎない」ことです。

たとえば、会社の経営者が書いたブログに手を加えすぎると、人間味や個性が失われてしまいます。最小限の調整にとどめることで、話し手の感情や熱意、現場の温度感や空気感も一緒に伝えられるよう心がけています。

ただし、以下については調整をおこない、読みやすい文章へと改善します。

  • 「えーと」「なんか」「まあ」といった意味のない言葉(フィラー)の整理
  • 長すぎる一文を区切り、リズムを整える
  • 伝わりにくい言葉に補足説明・注釈を追加する

neccoのリライト事例

「秋田COI-NEXT ソウゾウの森プロジェクト」ウェブサイト制作

「秋田COI-NEXT ソウゾウの森プロジェクト」とは、秋田の公立3大学(秋田県立大学、国際教養大学、秋田公立美術大学)が中心となり、森を活用した研究開発や人材育成を通じて自律した豊かな社会の実現を目指す取り組みです。neccoではウェブサイト制作にあたり、ウェブデザインや実装のほか、言葉づくり・リライトもお手伝いしました。

そのなかで、特に時間をかけて検討したのは、すでに確定しているコンセプト「森の価値変換を通じた、自律した豊かな社会の実現」をどう説明するかです。

サイトリニューアル前に使用されていた説明文には、先述した「専門用語」「英語・略語」「抽象的な表現」が多く含まれていました。これは、プロジェクトの専門性の高さや、関係者の熱量が伝わるものでしたが、一般の読者の方には、その意図が伝わりにくくなってしまうという課題がありました。「むむ、これをどうわかりやすく伝えようか…」もっとも悩んだポイントです。

元のテキストをneccoがリライトし、お客さまにフィードバックいただき、さらにそれをブラッシュアップしていく。毎週の定例ミーティングで何度もお客さまと対話しながら案出しをおこない、具体的で読みやすい文章へと調整していきました。

くわしくは、プロジェクトの裏側を書いた記事をご覧ください!

さいごに

長年言葉にたずさわる仕事をしていますが、成果につながる、最適な言葉を見極めることのむずかしさは、どんなプロジェクトにおいても、毎回深く感じています。

今日ご紹介したリライト術を駆使しても、最終的な判断に迷いは生じますし、ほんとに成果出るかな?と不安になったりもします。

しかし、言葉は奥が深いからこそ、プロが必要です。neccoを信頼してお仕事を依頼してくれるお客さまのためにも、これからも、プロのエディター・ディレクターとして胸をはって言葉を届けられるよう精進していきたいと思います💪

今年もやってきた!neccoアドベントカレンダー2025

これはneccoのアドベントカレンダー9日目の記事です!

neccoでは昨年に続き、2025年12月1日 〜 12月25日の期間中、アドベントカレンダー企画を実施しています。neccoメンバーの知見や一年の振り返り、そして多様な視点をみなさまにお届けすることで、わたしたちの制作への想いや取り組みを伝えていければと思っています。

明日の記事もおたのしみに!


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2025年12月3日更新

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