安達 友香
安達 友香

necco note

デザインから縫製まで約2ヶ月「HAKONECO」オリジナルユニフォームの製作過程

  • Column

neccoで経理、アシスタントデザイナーをしている安達です。

今回は、2023年11月11日、12日にneccoメンバーで参加した、デザインフェスタvl.56(以下、デザフェスと略します)のために作成した「HAKONECO(ハコネコ)」オリジナルユニフォームの製作過程について書いていきます。

デザフェス当日の写真です。

私は昨年の春から夜間の服飾学校に通いながらneccoで働いています。製作当時(2023年10月ごろ)は入学して半年が経過したくらいでした。そのため、まだわからないことも多く探り探りな状態でしたが、このブログを通して、ユニフォームづくりと向き合った2ヶ月間の裏側を伝えられたらなと思います。

また、5月上旬にデザイナーの今ちゃんさんと小雪さんにユニフォームを着てもらい、アルバイトのゆうきさんに撮影をしてもらったので、最後にお洋服のルックもご紹介します。

メンバーにユニフォームを着てもらって撮影をしたときの写真です。

当日のデザフェスの様子についてはこちらの記事をご覧ください。
「デザインフェスタVol.58」にHAKONECOとして初出店した記録

なぜ服作りを学んでいるかについてはこちらの記事をご覧ください。
服飾学校に通いながら働く新卒社員の入社エントリ

5着のオリジナルユニフォームを作成

製作の概要は下記になります。

  1. 制作物:「HAKONECO」オリジナルユニフォーム
  2. 期間:2023年9月から11月10日(デザフェス前日まで)
  3. 目的:2023年11月11、12日に参加するデザフェスのユニフォームとして着用する。また、デザイン、縫製、スケジュール管理など制作に必要なことを一通り挑戦することで、洋服販売に向けた経験を積む。
  4. 着数:当日参加する女性メンバー5人分

学校の課題の応用としてワンピースを作成

服飾学校に入学して半年が経ち、最初の課題であったワンピースの製作が終わったタイミングだったので、課題の応用としてワンピースを作ることにしました。

学校で作ったものは基本的な形だったので、腕が上まで上がらないタイトなシルエットでした。今回はユニフォームなので、動きやすく、かつメンバーの好みや体型に合わせたものを作りたいと思い、製作を進めました。

「HAKONECO ワンピース」の製作過程

ざっくりとしたユニフォーム完成までの順番は下のようになります。

  1. デザイン決め
  2. 型紙作成
  3. 布選定
  4. トワル作成
  5. 型紙の調整後、1着作成
  6. メンバーに意見をもらい、型紙調整
  7. 残り4着の作成

では、過程ごとに詳しく書いていきます。

1.デザイン決め

実際のデザイン案です。
デザイン画の下書きです。

デザイン画は一度紙に描いてから、配色などを想像しやすくするためにIllastoratorを使って再度描きながら決めていきました。

箱猫ちゃんとおばけちゃんのイメージから配色はモノトーンにし、派手すぎないけど印象に残るキャッチーなデザインを目指しました。更にきちんとした印象も出したかったので、中世のイギリスのメイド服のような、クラシカルな形を意識してデザインを考えています。

また、メンバーにどんな服が良いかヒアリングを行いました。

  • 動物の毛がつきにくい。
  • 裾を引きずらない。
  • ポケットが付いている。

など、機能性や着やすさという面での意見が多くありました。

他にも、

  • シルエットがきれいに見える。
  • オーバーサイズ

など、来たときの体型カバーについても気にしている声がありました。

私自身もメンバーの要望を聞いて、取り入れたいと思うものばかりだったので、できるだけ反映できるよう工夫をしました。具体的な内容はこの後の工程で説明していきます。

2.型紙作成

デザインをもとに手引きで型紙(洋服の図面のようなもの)を作成しました。

4分の1サイズで作成した型紙の下書きです。
4分の1サイズで作成した型紙の下書きです。

学校で使っている教科書を見て、プリンセスラインと言われる形のワンピースの型紙を作成しました。イメージとしては体に沿ったシルエットで裾が広がっているマーメイドスカートに似た形になります。

ウエストを絞りつつ、スカートが裾にむかって広がっていくような上品で華やかなシルエットで、スカートの布量は動きやすいように多すぎず、少なすぎない加減に調整しました。

また、メンバーから意見があったように、丈はくるぶしくらいの引きづらない長さにしています。

当時は手引きしかできなかったのですが、時間がかかるのとスペースが必要となるので、現在は洋裁用のCADを使って、パソコンで型紙を作成する練習をしています。

3.布選定

布のサンプルをいくつか取り寄せました。

毛がつきにくいことや、シワになりづらいという要望があったので、生地は慎重に選びました。

  • 厚すぎず薄すぎない生地であること。
  • ほどよいハリ感があること。
  • シワになりにくいこと。
  • 動物(ペット)の毛がつきにくいこと。
  • オールシーズン使えそうな生地であること。

以上の条件で絞り、いくつかの生地屋さんのサイトを見ながら、素材や値段を見比べて5つのサンプルを取り寄せました。

実際に触ってみて、触り心地や暑さの雰囲気を見て理想に近いものにしました。

4.トワル作成

ワンピースのトワル(試作)作成を行いました。

トワルから作成することは初めてだったのですが、完成してみて、「ウエストをもっと絞ったほうが良さそう」、「スカートの布量が少なすぎたかも」など、立体にしたから見えてくるものがあり、よりきれいなシルエットをつくるためには重要な作業だなと思いました。

実際に作成したトワルです。

「3D CAD」というPC上で着装シュミレーションができるツールを使えば、実際に布を使わずに3Dアバターに着せて確認できます。トワル作成の時間も短縮されるので、今後は「3D CAD」にも挑戦してみたいと思います。

5.型紙の調整後、1着目の作成

自分用として1着作成しました。

トワルのシルエットがゆったりとしすぎていたので、首周りとウエストを少し詰め、スカートはもう少しボリュームが出るように布量を増やしています。

自分用として作成した1着目のワンピースです。

6.メンバーに意見をもらい、型紙調整

自分用として作成したユニフォームをメンバーに見せたところ、「体型的にウエストの切替があるほうがよい」「ポケットがほしい」という意見がありました。

ポケットは当初から要望としていただいていたのですが、作り方がわからずつけないままで作成していました。しかし、もう一度追加する方法を調査・検討し、目立たないようにワンピースの脇部分につく型紙を作成しました。

また、プリンセスラインだと骨格的に不安という声もあり、ウエスト切替の型紙を作成し、メンバーにどちらの形がよいか選んでもらうようにしました。

追加で作成したウエスト切り替えの型紙の下書きです。

7.残り4着の作成

ようやく型紙が完成したので、布を裁断し、ひたすら縫いました。

型紙の変更などで手間取ってしまったため完成がかなりぎりぎりとなってしまい、デザフェス前日まで作業をしていました。

小雪さんと冬菜さんに試着してもらったときの写真です。
今ちゃんさんとまりめろさんに試着してもらったときの写真です。

デザフェス当日の様子

ユニフォームを着て接客している様子
箱猫ちゃんを制作した今ちゃんさんと、おばけちゃんの制作者まりめろさんです。
会場でユニフォームと似たお洋服を着た女の子のイラストを見つけました!

当日は、予測以上にお客さんからかわいいと言ってもらえて、とてもうれしかったです。ユニフォームの写真を撮影してくれる方もいました!
また、自分が他のお店を見ていた時に、ユニフォームを覚えてくれたお客さんに声をかけてもらうこともありました。当初掲げていたキャッチーなデザインにできたのかなと実感しました。

デザフェスに出展した「HAKONECO」のグッズは現在、オンラインストアで販売しています。
サウナハットやピンバッジ、ステッカーやチェキなど箱猫ちゃんとおばけちゃんのかわいいグッズがたくさんありますので、まだ見ていない方はオンラインストアもぜひご覧ください。
「HAKONECO」オンラインストア

「着なきゃいけないのではなく着たい」を目指したい

もともと大学のダンスサークルでメンバーのために衣装を作っていたこともあり、着る人を考えて作成したいという思いが強くありました。そのため、一人ひとりの体型に合わせたり、要望を集めてできるだけ取り入れるよう工夫したり、着る人が好きな形やスタイルを取り入れることを心がけました。

結果、実際より作業時間がかかってしまいましたが、完成して試着してもらったのを見たとき、自分自身納得できるものに仕上がったのではないかと感じました。

今思うと、「着なきゃいけないのではなく着たい」と思ってもらえるユニフォームを目指したいというのが最後まで軸になっていたと思います。

ユニフォームの撮影

最後に、今回制作したユニフォームを写真で紹介していきます。

デザイナーの今ちゃんさんと小雪さんにモデル、アルバイトのゆうきさんに撮影をしてもらいました。

これからの目標

デザフェスのユニフォーム製作では、デザインから縫製、写真撮影までのすべてを一通り経験でき、スケジュールの立て方や服作りに必要な工程など、多くのことを学べました。また、服を作る際には、同時に多くのタスクをこなさなければならないことにも気づかされました。

実際にお客さんに売ることを考えると、製品表示の取り付け、サイズ展開、量産に向けた縫製仕様書の作成、PR活動、ECサイトの準備など、まだまだやるべきことがたくさんあります。

今後は、空いた時間を活用しながら少しずつ準備を進め、最終的にはお洋服の販売に向けて動いていきたいです。目標としては年内に今回製作したユニフォームを改善したワンピースを販売できたらと思っています。

最後に

大学時代から服作りを続けていて変わらないのは、完成したお洋服を着て喜んでくれる人がいたり、褒めてもらえたりすることが、私にとっての大きなモチベーションになっていることです。今回のデザフェスでも、多くの方々から反応をいただいて、とても嬉しかったです。

まだまだデザインやパターン、縫製について勉強中ではありますが、これからも服を着る人やそれを見る人の気持ちを大切にしながら、服作りを続けていきたいと思っています!

残り1年半の学校生活も頑張っていきます!!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

安達 友香

安達 友香

Yuka Adachi

東京都生まれ。 中央大学商学部を卒業。2020年3月からneccoで経理のアルバイトを開始し、2023年に入社。大学でのサークル活動で洋裁にハマり、自分で洋服の作り方を調べ、大学在籍中に100着以上のダンス衣装を製作。2023年から文化服装学院服飾専門課程Ⅱ部服装科に在籍。neccoの経理担当兼ファッションデザイナーになれるよう、日々勉強中。好きなものは、洋裁、フルーツティー、春雨、韓国、カフェ、ディズニー。

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