阿部 文人
阿部 文人

necco Note

「練習をせず上手くなることはありますかね。ないですよね。」という話を美容師さんとした話

  • Column

昨日、クリスマスイヴに美容室にいったのですが、そこで美容師さんと話した内容が示唆に富んでいたのでそれについて書いていこうかなと思います。

necco Advent Calendar 2024 の最終日、25日目の記事です。みんなでつないだアドベントカレンダーも今日が最終日!とっても大変だったので来年はおそらくやらないですが、毎月、毎週継続的に来年は記事を書いていければと思います。

各個人が書く力をあげることができると思っているので来年も同じく情報発信は続けていきます!

美容師さんの会社はとってもクリーンでホワイト

私が通っている美容室は店舗数が多く大きな企業の美容室です。もう5年くらいは同じ美容師さんに切ってもらっています。そこでたまたまなんの話の流れだったか話題になった新入社員の人の話。

その会社では残業もなく、とっても働きやすい良い環境とのこと。15年くらい前?は美容師さんといえば1日中立ちっぱなしでお昼を食べる暇もない、帰りも深夜。みたいなところに私が通っていてお話をきいていたこともあり、美容師さんってとても辛い仕事なのでは?というイメージをもっていました。

ですが、5年くらい前から通いはじめた美容室ではしっかりお休みもとれて、残業や残って練習なども当たり前ではなくなって、新入社員の人をとても大事にし、できるかぎり長く勤めてもらえるように全社的に動いているとのこと。

私の担当をしてもらってる方はどんどん出世してトップスタイリスト?になってる方(すごい!)なんですが、

✂️「自分が働きはじめた時と今の状況が違いすぎてどうすれば。。。昔は会社からもやめたい人はどうぞ!みたいな感じはあったが、今は全く逆でどうしたらできる限り気持ちよく働いてくれて長く、続けてもらえるか?みたいな状況です。新しい人が辞めたらコストが!!!みたいなことを普通に上から言われます。

みたいな話になりました。

これってその美容師さんの会社だけでなく、デザイン、ウェブの会社もそうなのかも?と思い、髪を切ってもらってる間、その話で盛り上がりました。

夜も休みも「練習する人」と「練習しない人」との差がつきやすくなった

さらに新しい人の練習量の差についての話なりました

✂️「働き方も変わってホワイトになって、練習も強制?慣習?みたいではなくなって、練習する人と練習しない人がくっきり分かれるようになってしまった。強制はもちろんできないから本人の自主性に任せるしかないけど、そうなるとうまくなりたいです!先輩見てください!と夜も休みも練習する人と練習しない人との差がつきやすくなった

私「練習をせず上手くなることはありますかね。ないですよね。

✂️「ないですね。技術職なんで練習すれば必ずうまくなると思います。でも練習しない人が練習して頑張ってる人をみて、あいつは給料があがって、仕事もたくさん任されて。。。みたいな感じで言ってくるので。難しいです。

なるほど、これは確かに。どの技術職の世界でもあると思いますがこれはこれでけっこうつらい状況だなと思いました。自主性や自己責任は、ある程度その技術について知っている、理解している、できる、のであれば生まれてきそうですが、そもそも全くわからない、できない状態で自主性のみに委ねるのはこれはこれでつらい状況になりそうだなと感じました。

本人のやる気、自主性だけを頼ってしまうとうまくいかないこともあると私は思っています。もちろん、自分の底から湧いてくる仕事に対しての好きや興味、関心、悔しさみたいな火があり、自分で燃やすことができれば進んでいけるだろうとは思います。

究極を言えばそれができないなら、一流、遠くへは行けないとも思います。ただやはり練習をしないとうまくはなれない。うまくならなければ自信にもならない。自信が少しでもなければ次に向かうことができない。次の打席にたったり、試合にでなければその経験も積むことができない。

スポーツでも同じことが言えそうです。自主練習をできる人もいれば、できない人もいる。自分で改善点をみつけて対策を打てる人もいる。やらないやつは甘え!みたいな言葉も聞こえてきそうではありますが、そうとも思いますしそれだけとも思わない自分がいます。

差を埋めながら前に進んでお客さまとそのお客さまに良い仕事や成果を届けるようにする

自分で練習する人としない人との差をできるかぎり吸収できるようにするのが組織が提供できる教育の仕組み(neccoにはまだまだ全然ない。)と考えています。教育というと非常に難しいのですが、自然と練習してしまう、練習になる環境や文化を作る。うまくなって打席に立ち、試合に出場する。何度も負けて、たまに勝つ。そして自信を少しつける。この繰り返しの中に入れればどんどん上手くなっていくことができる。

私は組織の仕組みや文化だけが大切。とも思ってはいないですし、本人のやる気とか自主性とか自己責任だけとも思っていなくてこのバランスをどのようにとり、広がってしまう差をうまく吸収するのが組織の仕組みであり、そして研鑽を続けて成果を出す人に給与や報酬できちんと返していく仕組みこそが組織の力、役割だと考えています。

技術職だから、専門職だから、自分でやるしかないだろ!みたいな気持ちも非常に共感するところはあるのですが、やはりそうじゃないと思うところがあります。そのための会社や組織、チームがあると。できない人もできる人もいる。できるときがあればできないときもある。能力の差もライフステージの差も、タイミングや気持ちの差も各個人にあると思います。状況は刻一刻と変わるし仕事に対しての思いも大きく差があるでしょう。その差を埋めながら前に進んでお客さまとそのお客さまに良い仕事や成果を届けるようにする必要がある。

きれいごとかもしれないけど、きれいごとを真っ当に愚直にやるしかないです。

ふとなぜか、るろうに剣心の言葉を思い出しました

剣は凶器。剣術は殺人術。
どんな綺麗事やお題目を口にしてもそれが真実

けれども拙者は、そんな真実よりも、薫殿の言う甘っちょろい戯れ言の方が好きでござるよ

るろうに剣心 緋村剣心

私が胸に秘めた大好きな人たちの言葉

今回の美容師さんとの話のあと、色々思い出した言葉がありました。いつも良い言葉は自分の中に持っておくようにしてなにか折れそうなことがあったら思い出すようにしています。

もしかしたら私だけでなくこれから誰かを助けることがあるかもしれないので残しておこうと思います。

技術職なのに技術力を上げないのが不思議
でもなんとか続けてもらえるようにしないといけない

私が通う美容室の美容師さん

これはその美容師さんがいった言葉です。技術をあげるのは誰のためか。自分のためかお客さんのためか、お客さんが髪を切ったあとに嬉しそうに幸せそうに暮らすためか。どこをみて仕事をするかですね。自分だけに向かうかその先の先をみるか。

あわせて続けてもらうために会社ができることをもっと考えていかないといけないと思いました。

己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと
心を燃やせ
歯を食いしばって前を向け

鬼滅の刃 煉獄杏寿郎

鬼滅の刃をみてからよくこの言葉を思い出します。体力的に、精神的に辛いときでも自分の中にある心を燃やす。何もなかったとしても自分の心の中にある火だけは絶やさない。自分ではなく他者に自分の火を消させてはならない。

自分の気が向いた時だけ練習をして
オリンピック選手になった人はいない

不明(忘れてしまいました)

なにかの本でみたような気がするのですが言った方を忘れてしまいました。自分の気持ちが続かなくなりそうと少しでも感じたときはこの言葉を思い出します。私はモチベーションという言葉あまり好きではないのですが、自分のモチベーションに頼ってやるからうまくいかないとも思ってます。ただやる。気持ちに頼らない。

お前のせいで負けた。
本当にお前がうまいならできないやつをできるようにできるだろ?
それがわからないか?

中学生の時のサッカークラブチームコーチ

これは私が小・中と所属していたサッカークラブチームのコーチの言葉でした。当時の私は小学生4年生ではじめるには少し遅いスタートでした。ですが、毎日ただひたすらに練習しました。夜も土日も。1人でボールとコーンを持ち出して首都高の下にあるフェンスで囲われた公園で。ドリブルしたりひたすらボールを蹴る壁打ちをしていました。そして少しだけ上手になって、中学生の部活とクラブではキャプテンになり、トップ下のミッドフィルダーになりました。区の選抜にもなりました。とにかく浮かれて調子にのって、自分だけいれば試合にも勝てるくらい思っていました。でもある大会の準決勝で私が浮かれてひたすらドリブルをしてボールをとられカウンターをもらって点をとられて負けました。自分以外はだれも信じてなかった。他人は否定して、ずっと馬鹿にしてた。そのときに言われた言葉です。ボロボロに泣きました。いい思い出です。

「そうか、本当にうまい人はまわりのこともうまくすることができるのか。」と思い。それまでの考えがすべてかわりました。その後はチーム関係は良好になりクラブチームの大会で準優勝(たしか優勝ではなかった。人生だ。)しました。

教えることと自分ができることは違うかもしれない。でも本当にうまいとはなんなのか?を考えるきっかけになりました。個人ではなくチームで、チームが試合に勝たないといけないですからね。

すこしでも上手いと思う人がいるとするだろ
もしそう思ったらなら、
自分の3倍は練習していると思え

中学生の時のサッカークラブチームコーチ

同じくサッカークラブチームのコーチの言葉です。自分がもし少しでも「すごい!上手い!」と思ったら自分の3倍は練習していると思うようにしています。もちろん忘れてしまったりもします。自分にただ才能がなかった、でもあの人には生まれ持った才能がある!だからおれはできない。と思ったりもしてみたいです。でもそれでは別に何も自分は変わりません。

裏を返せば、仮に才能が相手にあったとしても3倍練習すれば自分も追いつくことができるかもしれない。そんなふうに考えることがあります。

練習しないで上手かったらいいんですけどね。
めちゃくちゃ練習しました。

私が起業してからずっと尊敬してるデザイナーでありエンジニアでありディレクターであり経営者

とある大きなイベントの帰り道。登壇したメンバーみんなでカラオケにいきました。当時は創業して数年でまだまだ何もできていなかった頃です。ありがたい機会をいただいてイベントに登壇しました。その帰りに仲良くしてもらってる友人(あえて友人といいます。勝手に友人・親友・戦友とめちゃくちゃ思ってるw)が言った言葉です。

その人の歌が本当にうまかったんですよね。洋楽だったかな。確かエアロスミス。なんでそんなにうまいんです!!!??ってきいたら言ってくれた言葉で、言葉ではうまく言い表せない衝撃をうけました。あー私はまたすごい人やできる人のことを努力もなしにもともとできるようになっていると勝手に勘違いしていたんだなと。

私もその人くらいなんでもできたらと良いなと思うけど、なかなかできず。悔しさを胸に秘めながらも自分がやるべきことに注力して頑張るしかないと思ってます。ただただ尊敬しています。

人間の価値とは、その人が生まれた世界と、生まれなかった世界の差だと思うから。

古賀洋吉さん 君が生きていたということ より

僕が大好きな起業家である古賀洋吉さんの言葉。13年ほど前のサンフランシスコに留学に行く前からずっと読んでいた好きな愛のブログ。

サンフランシスコに行ったら会えるとは思ってなかったけど奇跡的になぜか会えた。知り合いのホームパーティーの屋上で同じくゲストで呼ばれていたんですよね。少しだけお話できた。今もずっといい思い出です。尊敬している起業家。僕が、9言語を話せるホストマザーが色々やばすぎるって話したら笑っていました。

僕も過去を思い出して読むといつもボロボロに泣いてしまう「君が生きていたということ」ぜひ。

本当に失ったことがないと何もわからないんだなと思う。誰かに本当の意味で優しくしたりもできない。優しくされていることすら気づけない。失ってからでは遅いことがあまりに多すぎる。

好きな言葉のひとつである「想像力は仕事力」も古賀さんが他の記事で書いていてそれもずっと心に秘めています。

商売道具を汚して、大事にしない人が仕事(デザイン)なんかできるの?

前々職の会長

前々職ではホテル、レンタルオフィスなどを運営する事業会社でマーケティング部のマネージャをしていました。

グループ全体の会長は現場に毎日いって、毎日自社ビルのオフィスやフロアーを回って、各チームのデスクやPC、モニターの汚れ、床などの汚れ、整理整頓について厳しく言っていました。

その中で私のチームも当時20人ほどいたのですが、汚れていたり、ホコリがついているとよく会長に言われた言葉です。あまりに毎日くるので自分のデスクはあたりまですが、チームのデスクも夜1人ですべて掃除したりしていました。すごいうざい上司でもあっただろうな。勝手に掃除して。でも綺麗にしておくことはとても大事だなと掃除していてよく思いました。

机が汚い人ほど仕事全体やデザイン、言葉も設計もあまり見えていない。人とのやりとりもうまくできていない。自分のことも見えていないなと感じます。掃除をすることで心が整ってさまざまなものが見えてくるようになるんだと思いました。

ルーティンは力

私がホームステイしていたホストマザー

30歳のときに留学していたサンフランシスコでのホストマザーの言葉。あまりに英語を話すこと自体に疲れ果てて、突然どこにも出れなくなって部屋で引きこもっていたときにホストマザーが家のベランダに連れ出してあったかいコーヒーをくれて言ってくれた言葉。

この言葉をもらってから、まずは起きて外にでる。カフェにいって本を読むだけ。みたいなルーティンをつくりました。それ以降、少しずつ気力がもどってまた動けるようになっていきました。

なにか大きすぎて分解ができないことにいきなり挑戦するのではなく、大きなことを向こうの向こうくらい遠くに意識はしつつも眼の前のことをひとまず手を付けるだけにする。これがポイントな気がします。

私は留学から4年後くらいに起業するのですが、起業してすぐにオフィスを借りて決めたルーティンが「毎日オフィスに行く」です。なにがあろうとなかろうと基本的にはオフィスに行く。もちろんどうしても行けない日もあります。ですが行ける日には今も必ずいくようにしています。

これはオフィスに行けばいいという話ではなくて、なにかしようと大きな目的に突然むかうのではなくて、ただ行く。ただ行くだけを心にきめておく。オフィスに着いたあとにその後のことは考える。(もちろんずっと仕事関連のことは考えてはいます。)確実にできるタスクにして、ただやる。ただ行く。それだけです。

ふとした瞬間の言葉に相手の人生が詰まっている

とりとめもなく書いてしまったような気がしますが、たまにはこういう文章を書くのもいいですね。

自分の中に誰かの言葉をぎゅっとしまっておくのは私はすごく良いなと思ってます。自分の支えになることがよくあります。漫画やドラマ、映画、友人、知人、恋人、親族。誰でもいいと思います。ふとした瞬間の言葉に相手の人生が詰まっている。その言葉を忘れずに自分の中で持っておければいつかきっとどこかで、強力な支えになると思います。私は何度も救われました。

最後に僕の大好きな写真家の言葉だけ置いておきます。

「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。もし、愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうにつたえるかって?」

「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンパスに描いてみせるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」

「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって・・・その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」

星野道夫

僕にいままで素敵な言葉をかけてくれた人にとても感謝しています。

写真は「グランドキャニオン、あーーーーー谷がでかすぎる〜〜〜〜〜!自分はとんでもなく小さすぎる〜〜〜!!!」って思ってる私です。

ではまた、メリークリスマス!

グランドキャニオンと阿部の写真

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阿部 文人

阿部 文人

Fumito Abe

東京都生まれ。オフィス仲介、外国人専用ゲストハウスなどの不動産業界にて自社ブランデング・ウェブマーケティングに従事。ウェブサイトの解析、広告運用、多言語サイトの制作を経験。その後、サンフランシスコにて語学留学を兼ね1年渡米。現地企業ECサイトの企画からCMS開発、デザイン制作なども担当。帰国後、2013年9月より秋田県内企業にてWordPressを中心にウェブサイトを多数構築。 2016年10月秋田県秋田市にて株式会社neccoを設立。WordCamp Kyoto 2017・WordCamp Osaka 2018・各地のJP_Stripes・JP_Stripes Connect 2019、CSS Nite LP64の登壇やAlexa Day2018・2019の運営など社外でも積極的に活動中。 好きなものは猫、読書、建築、Apple。2匹の猫と仲良く暮らしています。

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