necco Note
フロントエンドエンジニア志望の初学者からアシスタントにお勧めしたい課題図書5選!
- Web Development
neccoの2024年のアドベントカレンダー1日目は、アシスタント・フロントエンド・エンジニアの成長をサポートする書籍をご紹介します。
neccoでは、アシスタント・フロントエンド・エンジニアの入社時に、実装課題や課題図書を設け、課題への取り組みを通じてアシスタントのステップアップを図っています。実際には、アシスタントの入社時に、その方の個性や目標に応じた書籍を選んで課題としていますが、今回は、フロントエンド・エンジニアやマークアップ・エンジニアを目指す方に、広くお勧めしたい書籍をご紹介します。
これだけで基本がしっかり身につく HTML/CSS&Webデザイン1冊目の本
著者:Capybara Design、竹内 直人、竹内 瑠美
出版社:翔泳社
成長するためには、まず成長の土台となる基礎が必要です。土がなければ、根をはれず、成長できません(水耕栽培などは例外として…)。そこで、ウェブ制作の基礎を学びたい初心者向けの入門書をご紹介します。
カピバラさんの可愛らしいデザインのこの本は、HTMLとCSSの基本から、FlexboxやCSSグリッドレイアウトまでをカバーしています。豊富な図解、動画解説、そして実践的なワークを通じて、効果的に学習できる構成になっています。
書籍の目次だけを読んで「この内容はもう知っている」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、中身をしっかり自分のものにできているかがポイントになります。私はウェブ制作の講師としても活動していますが、この本は入門向けながら、この本に書かれているすべてを自分のものにできている方は意外と少ないと感じています。
例えば、コーディングする中で「あれ、span要素に上下のmarginを設定したのに、適用されないぞ?」など、うまくいかないことがあったとき、この本の内容を自分のものにできていれば、「そういえば、インラインボックスの説明で、そんな話があったような…」と思い出し、本をもう一度読み返して、確かめつつ、スムースに解決できるはずです。パッと本に書かれた内容が思い浮かばないとしたら、それはまだ自分のものにできていないということです。
この本にきちんと向き合えば、書名の通り、基本がしっかりと身に付きます。2021年と、少々前に出版された本ではありますが、出版当時の時点で新しめ&実践的な記述を選んで掲載しており、カピバラさんのストーリーも楽しく、2024年の今でも「コーディングの最初の1冊ならコレ!」とお勧めしたくなる本です。
HTML解体新書-仕様から紐解く本格入門
著者: 太田良典、中村直樹、永田順伸、小松弘幸
出版社: ボーンデジタル
HTMLのすべてを理解して自分のものにするというのは、あまり現実的な目標とは言えないでしょう。なぜなら、仕様は刻々と変わっていくからです。この本は、そんなHTMLに関して、深い理解を目指す方向けの書籍です。
HTMLを理解し、そして最新の仕様にキャッチアップしていくには、HTMLの仕様書を参照しつつ、実装していく必要があります。しかし、そうは言っても、その仕様書の読み方がわからない…という悩みを解決してくれる本です。仕様の解説はもちろん、アクセシビリティやセキュリティに関わる内容までカバーしています。HTMLの周辺の歴史や前提知識も解説されており、ただ「タグ」を書くことから抜け出してステップアップしたいフロントエンドエンジニアやマークアップエンジニアに最適の一冊です。
辞書的な内容に加えて、注意点や参考例も豊富に掲載されており、読みものとしても楽しく、もしも願いが叶うならば毎年改定されてほしい本でもあります。
Every Layout-モジュラーなレスポンシブデザインを実現するCSS設計論
著者: Heydon Pickering、Andy Bell、翻訳:安田祐平
出版社: ボーンデジタル
CSSレイアウト設計手法を学ぶための、個性派の一冊です。
「レイアウトプリミティブ」というアプローチを提案し、再利用性の高い、堅牢なCSSの書き方を解説しています。複雑な要件に対応しつつ、運用管理しやすいCSSコードを書くための考え方を学べます。形式としてはCSSの書き方の紹介ではあるのですが、実質的には「ウェブらしい、ウェブのよさを出せるレイアウトはどのようなものか」について書かれているので、デザインに興味がある方にもお勧めです。
ただし、あまり一般的ではない、個性的な設計ではあるので、書かれていることをすべてその通りに実践しようと思えば、レイアウトにコンテンツを詰め込むような形でデザインされている、デザインデータ(カンプ)先行型のウェブ制作では難しいと感じます。 それでも、部分的にはこの本で書かれているやり方を取り入れて、運用しやすいCSSレイアウトを組んでいけます。日本で一般的に広まっている「CSSの書き方」とは大きく異なり、読んでいる途中は脳みそをひっくり返して考えさせられるような感覚にもなりましたが、訳註のおかげで、とても読みやすくなっています。
もし、メディアクエリを使わずにレスポンシブなCSSレイアウトを組むとしたら、どうやって組みますか?…気になる方は、ぜひ本書を読んでみましょう。
ITパスポートの教科書(どれでも好きな一冊を)
ITパスポート未取得の方は、ぜひこれを機に勉強してみましょう。ITパスポートは、成長の土台となる基礎を固めるのに有用です。
ITに関する基礎的知識を証明する経済産業省認定の国家試験が、ITパスポートです。 ストラテジ系(経営全般)、マネジメント系(IT管理)、テクノロジ系の3つのジャンルから出題される試験で、ウェブ業界のみならず、一般の会社で働くにあたっても役立つ内容になっています。業務に必要な工数管理の概念や、ウェブ制作を行う上で必須のネットワークやデータベースに関する最低限の知識など、大事な内容が詰まっています。「パスポート」は絶妙なネーミングで、IT業界で働くのであれば、これらの試験範囲の内容は最低限押さえておきたい、そうすれば、先輩との会話にもある程度ついていけるだろうと予想できる内容です。
特にneccoはビジネス戦略を含めた提案を行うため、納品物を実装するエンジニアも、ある程度、ビジネスへの理解が必要です。なぜ、何のために、どう作るのかをしっかり意識すると、チームも円滑に回るようになりますし、自分の仕事のモチベーションにもつながります。
ITパスポートは一般的な資格のため、毎年、さまざまな書籍が発行されています。イラストや漫画で説明するタイプや、問題集が中心のタイプなど、バリエーション豊かに書籍が出版されていますので、ぜひ書店で内容を見て、自分と相性が良さそうな、取り組んでみたくなる一冊を選んでください。
伝わる・揺さぶる! 文章を書く
著者: 山田ズーニー
出版社:PHP研究所
この本は、その名の通り、誰かに何かを伝えて、その人を動かすための、効果的な文章の書き方を学べる本です。
著者が長年の小論文の指導に携わってきた経験を活かして、「意見」「望む結果」「論点」「読み手」「自分の立場」「論拠」「根本思想」という7つの視点から、良い文章を書くための戦略を提供しています。文章の書き方という技術的なアドバイスを超えた、コミュニケーションの本質に迫る内容です。
neccoでのコミュニケーションは、Slackを中心としたテキストコミュニケーションが主軸です。メンバーやクライアントと文章でコミュニケーションをとる際に、どのように書けば、円滑に仕事が進み、良い結果を導き出せるか。自分と身の回りの人の関係性を改善するためのライティングを意識できるようになる本として紹介しています。
【おまけ】エニシング・ユー・ウォント: すぐれたビジネスはシンプルに表せる
著者: デレク・シヴァーズ、翻訳: 児島修
出版社: 東洋経済新報社
先に断っておきます、この本は完全に私の「趣味の本」です。
私はこの本の著者のDerek Siversが好きで、20代から今にかけての生き方で一番影響を受けています。そんな彼が10年以上前に英語で出した本が、なぜか今年になって日本語版で発売されました。
この本は、著者がCDベイビーという会社を起業し売却するまでの10年間で学んだことを48のレッスンとしてまとめたものです。著者は、CDベイビーの立ち上げのために、一からプログラミングを勉強し、事業を育て上げ、手放しました。ビジネスの成功は必ずしも規模の拡大や利益の最大化ではなく、自分と相手の幸せを追求することが重要だと説いている、そんな本です。
仕事をする上でのマインドセットを得て、頭を柔らかくするために。自分が面白いと思えることを軸にしながら、他者に求められるものごとを素直にやり遂げる、そんなスタイルで道を切り開きたい方におすすめです。
まとめ
技術書は、読むだけでも楽しく、意義のあるものですが、やはり、実際に手を動かし、内容を自分のものにできれば最高ですね。どの本も、著者の経験や知識がギュッと詰まっています。
そして、最後に…「コードを書いてばかりで、ちょっと気分転換したいかも」という方には、拙著「ノーコードでつくるWebサイト ツール選定・デザイン・制作・運用が全部わかる!」、また、neccoメンバーが執筆した「これからはじめるFigma Web・UIデザイン入門」もおすすめです😁
年末年始の休暇中に、ぜひこれらの本の中から1冊を手に取って、新しい年への学びのきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
明日のneccoのアドベントカレンダーは、アシスタントディレクターの國原さんが「フォトウォーク」について書くとのことです。写真を撮りながら歩くのがフォトウォークでしょうか。果たして國原さんはどこを歩き、何をカメラでとらえたのか?ヒントは「アレック・ソス」です!お楽しみに!📸
追記:フォトウォークの記事が公開されました!記事&答えを見るにはこちらのリンクをクリック!
書影撮影:Yuki Kon
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(2024年11月時点)
佐藤 あゆみ
Ayumi Sato
ニューヨーク生まれ。まもなく東京に移住し、1994年から2年間のオーストラリアでの生活を経て、ふたたび東京へ戻り、今も暮らす。1997年頃より趣味としてWeb制作を始め、以後も独学で学ぶ。 音楽専門学校中退後、音楽活動での成功を夢見ながら、PCパーツショップやバイク輸出入会社、楽器店など、掛け持ち含めて計20以上(?)の業種でアルバイトを重ね、ECサイトの運営管理や自社サーバの管理、プログラミングなども学ぶ。音楽活動を展開する中で、集客やフライヤー制作、プロモーションビデオ制作を行い、周辺技術を身につけるきっかけとなるも、2011年頃に区切りをつけ、ウェブ制作で生計を立てることを決意。その後は画廊やウェブ制作会社などで勤め、2014〜2022年まではフリーランスとして活動。2018年より、CSS NiteやBAU-YAなどのイベント、スクールにて登壇。2019年に「HTMLコーダー&ウェブ担当者のためのWebページ高速化超入門」を出版。 趣味はガジェットいじり&新しいサービスを試すこと。