necco Note
「ほくかだい辞典」ロゴデザイン制作ストーリー
- Brand Design
北海道科学大学監修の身近な不思議を解説するコラムサイト「ほくかだい辞典」が公開となりました。
「ほくかだい辞典」とは、北海道札幌市にある北海道科学大学の教職員が監修する”かがく”に関するコラムです。小中高校生の好奇心を刺激し、学ぶことが楽しくなるような科学を中心とするさまざまなジャンルの豆知識や最新情報が日々更新されています。
neccoでは、ロゴデザインとコラムサイトデザインをお手伝いしました。
メインでデザインを担当したのは、当時アシスタントデザイナーの龍神。neccoに入社して初めてクレジットの一番前に名前が載って感激しました。
公開に至るまで何度もクリエイティブディレクターの阿部さんや先輩デザイナーにレビューをいただき、修正をくりかえすことで公開に至りました。
今回は、そんな「ほくかだい辞典」のロゴデザイン・コラムサイトデザインの制作ストーリーをご紹介します。
ロゴを制作することになったきっかけ
プロジェクトは、「ほくかだい辞典」ロゴデザインのブレイキングデザインから始まります。
ブレイキングデザインとは、有志のデザイナーが各自デザイン案を作成し選ばれたデザインのみをお客さまに提案するという取り組みです。
過去に、デザイナーの中川さんが参加した企画を社内用にアレンジしたもので、neccoではこれまで何度か開催されています。
『BREAKING DESIGN(ブレイキングデザイン)』に挑戦した1ヶ月の振り返り(猫ネキ)
「ほくかだい辞典」と企画の概要は、Figmaで共有されます。
【neccoブレイキングデザインの概要】
- Figmaで案をだし、ロゴ作成をする
- ロゴはマークとタイプフェイスを作成する
- 各人それぞれ1〜3案作成する
- 制作場所は各々別ファイルのFigmaで行う
- ロゴの意図を簡単でいいのでそれぞれ書く
- 社内の発表日程までであれば、阿部さんにレビュー依頼が可能。
- 先方にはフレームでまとめてPDFで複数案(3〜10案くらい?)を提出する
- 社内で発表、レビュー。調整後に提案書作成し、お客さまに提出。
- 方向性が決まり次第、採用された案を作成したメンバーがイラレでロゴ展開案を作成する
■ 中間成果物(28日提出)
- Figmaで作成したロゴマークとタイプフェイス案
■最終成果物(3月17日阿部レビュー・3月23日先方提出・修正して3末に納品)
- ロゴマーク
- ロゴタイプフェイス
- マークとタイプフェイスの縦・横組のパターン(マークによって組の形は検討してOK)
設定された期限までであれば、何度でも阿部さんからフィードバックがもらえます。たとえ採用されなかったとしても「こんな貴重なフィードバックの機会を逃すわけにはいかない」と思い、すぐに参加表明しました。
過去何度も同様の企画を社内で開催していますが、基本的にほぼ全てに全員のデザイナーが参加をしています。
STEP.1 コンセプト整理
ロゴデザインをするに当たって、まずは自分なりにコンセプトを整理して関連するキーワードを書き出していきました。
連想ゲームの要領で、コンセプトから思いついた言葉やモチーフも思いつくまま書いていきます。パソコンやスマホが近くにあると、つい参考のロゴやイメージを調べたくなってしまうので、あえて手書きで行いました。
ノートに手書きで思いつくラフをどんどん書いてから、いくつかピックアップしてIllustratorでデータ化していきます。
今見返すとあまりにIllustratorの使い方が汚くて、本当に恥ずかしいです(笑)
ここから細かい調整や検討を繰り返して、阿部さんへの初回提出にありつきました。
初回では、3案作成しました。
A案:物知りなフクロウ博士のキャッチーなデザイン
B案:飛躍をイメージしたかっちりしたデザイン
C案:科学のモチーフを使ったポップなデザイン
それぞれのデザインコンセプトや表現したいことを言葉にして、一緒に送りました。
すぐに阿部さんから返信が…!
お忙しいのに、いつ送ってもすぐにレビューしてくれて本当に感謝です。。。
STEP.2 ブラッシュアップ
レビューいただいた内容を反映しながら、デザインをブラッシュアップしていきます。
1回目のレビューでの課題【A案】
- フクロウのキャラクターの既視感をどうなくすか
なんでフクロウなんだろうと考えてみたら、「なんとなく博士っぽい」「学びや物知りのイメージがある」くらいのザクっとした理由だったので、もう一度モチーフを考え直してみました。
好奇心旺盛
色んな知識を吸収する
キャッチーでわかりやすい
……リスだ!
ちょこちょこと色んな場所を移動しながら木の実をほっぺに詰めていくリス。
その姿が、好奇心を持って色んなことに興味を持って知識を吸収、蓄えていく姿に重なりフクロウ案は残しつつもリス案も作成していきました。
そして、もうひとつのデザイン案。
1回目のレビューでの課題【B案/C案】
- よくある本モチーフをどうコンセプトに落とし込むか
- 色味が暗い印象
- B案のタイプフェイスとC案のフラスコのモチーフを合わせてみるといいかも…!
まずは、B案とC案を組み合わせたデザインを作成。
角度や文字のあしらいを変えながらパターンを出していきます。
また、カラー展開も再度検討しました。
北海道科学大学さまのメインカラーと黒を組み合わせたもの、カラフルなパターンを作成。コンセプトに沿ったビジュアルにするために、科学にまつわるカラーについて調べて反映、検証をしてみました。
可視光線 (visible light)
人間の目に光として感じる波長範囲の電磁波。波長範囲の下限は360-400 nm、上限は760-830 nmである。可視光線の波長は、nm(ナノメートル)単位で表されることが多い。1 nm = 1×10-9 (0.000000001) m。波長によって異なる色感覚を与え、紫(380-430 nm)、青(430-490 nm)、緑(490-550 nm)、黄(550-590 nm)、橙(590-640 nm)、赤(640-770 nm)として認識される。
人間の視覚が色を認識するのは、網膜の視細胞である錐体にある、ヨドプシンと呼ばれるタンパク質の働きによる。人間の錐体には3種類あり、それぞれ青、緑、赤色の光を認識する。これらの3種類の錐体によって、すべての色を表現することができる。「光の3原色」とは、人間が3種類の色を認識することに基づいた考え方である。
引用:東邦大学
ロゴデザインの過程で科学にまつわる豆知識や情報に触れていくことで、ほくかだい辞典のテーマである「知る・学ぶが楽しくなる!」を私自身も体験しているようでとても楽しかったです。
検証の結果、ほくかだい辞典のワクワク、好奇心を刺激して科学に興味を持つきっかけになるという意味でも「光の三原色」をベースにした配色をメインに、いくつかの配色パターンを作成しました。
各案のコンセプトも改めて整理して、再び阿部さんにレビュー依頼をしました。
STEP3. 提出準備
レビューを踏まえて2案をそれぞれブラッシュップしていきます。
2回目のレビューでの課題【A案】
- リスの方向性が良さそう!だけどなんのリス?
- 色をもう少し検討
北海道のリスについて調べてみたところ、エゾシマリスという種類が生息しているようでした。写真を見比べながら、ひたすらリスを量産していきます。
2回目のレビューでの課題【B案】
- マークと文字の傾きは合わせる
- カラフル・赤黒2パターンでブラッシュアップ
マークと文字の傾きを揃えつつ、ベタ塗りや枠のみなど様々なパターンを作成し良さそうなものに赤丸をつけていきます。
ブラッシュアップをして、社内発表用の資料にまとめていきます。
ここで初めて、他のデザインメンバーが作成したロゴデザインを見ることができました!
どの案も素敵で、みんなで「かわいいー!」とワイワイしながら提案資料の準備を進めました。
合計13案のロゴデザインを提案。お客さまから「とても楽しく選んでいます!」と嬉しいお言葉をいただきました!
ロゴ案の決定
私が提案していた案をベースにブラッシュアップをしたいと、お客さまから連絡がありました!
当時秋田オフィスに勤めていたのですが、隣に座っていたエディターの夏井さんから「龍神さんの案に決まったよ!!!」と声をかけてもらって凄く驚いたのを覚えています。
他のメンバーにもSlackでお祝いいただき、心ウキウキですぐに打ち合わせとブラッシュアップを進めていきました。
その後、何度も他のデザインメンバーや阿部さん、お客さまと相談や調整を重ねていくことで最終的なロゴを仕上げていきました。
当時はガイドに合わせる、角度を揃えるという概念すら持ち合わせておらず、阿部さんやデザインメンバーが何時間も付きっきりでレビューや調整に付き合ってくれました。。。本当に感謝です。
こうして最終的な納品データを作成しました。
最後に
当時アシスタントデザイナーだった私にとって、「ほくかだい辞典」のロゴデザイン作成は勉強になることばかりでした。
特に、最後まで自分で作りきること。
neccoに入社してから他のデザインメンバーが作成したデザインの展開が多かったため、今回のプロジェクトで自分で決めて、最後まで作りきることの難しさを痛感しました。
繰り返しレビューをもらう中で「なんでできないんだ!」「下手くそ!」と自分自身に心の中で叫びながら、なんとか完成させることができたプロジェクトです。
この貴重な機会をくれたお客さまと、何度もレビューや調整に付き合ってくれたneccoメンバーには本当に感謝しています。
記事を書くまでに随分時間がかかってしまい、このプロジェクトは1年以上前です。
当時を思い出しながら書き進めることで、初心に帰って来れたように感じます。
このときに感じたデザインの楽しさと悔しさをこれからもずっと大切に、さらなるパワーアップの源にしていきたいです!
今回はロゴデザインについてお話しましたが、実はロゴに引き続き「ほくかだい辞典」メディアサイトのデザインもneccoでお手伝いしました。
小中高生がワクワク学べるような身近な不思議を解説するコラムがたくさん掲載されています。
ぜひご覧ください。
龍神 菜緒
Nao Ryujin
神奈川県生まれ。大学卒業後は損害保険会社に入社し、官公庁や企業の従業員向け商品をメインに担当。休職をきっかけにデザインと出会い、個人事業主としての活動を開始。デザインを始めた当初からneccoがつくるものに魅力を感じており、秋田への転居もあり思い切って応募。2022年12月より参画。好きなものはデザイン、犬猫、ジンベエザメ、コーヒー、ビール、辛いもの、旅行。蒙古タンメンの秋田出店を切望している。