necco Note
2023年necco名刺の完成までの変遷まとめ【後編】
- Brand Design
昨年、創業から2022年まで利用していた名刺の変遷を記事でまとめました。
こちらの記事はその続きの記事になります。
創業時から2022年までVer.1から4まで利用していたデザインをまとめて前編として公開しています。こちらの記事はVer.5から6のデザインについて書いてます。
最後には前編からのVer.1からVer.6までのデザインを一覧でみれるようにしています。
デザイナーさんや名刺を作る方のなにかの参考になれば幸いです。
Ver.4のデザインまでをまとめた前編
「necco名刺の変遷まとめ。デザインで印象は変わる、なんだか大人になった名刺たち。」
Ver.6までの名刺デザイン制作過程
前編の記事ではVer.4のデザインまでをまとめています。最終的に完成したのはVer.6.3となりまして、Ver.5は印刷はしたのですが、お蔵入りとなりました。
Ver.6までの制作過程を時系列に沿ってまずは書いていきます。
2022年12月6日:幻のVer.5.1が届く
幻のver.5.1です。箔のneccoロゴが切れて納品されてしいました。背景の色もリッチブラックで入稿していたのにだいぶ薄くなってしまってました。何度か印刷会社さんに箔と背景色について説明したのでなかなか意図が伝わらず、断ち切られたロゴがどのように切れてしまっているか説明する資料を作成して共有しました。その後、返金の対応をしていただけることになりました。
この会社さんはもちろん公表はしないのですが、neccoのロゴが切れてしまった名刺が届く前になぜか違う方の名刺がneccoに郵送されてきてしまい返送をするということもありました。(この方は日程的にまにあわなかったのではないかと心配しながら返送しました。)
みんなで悲しみにくれながらデザイナーの今に箔が切れてしまっている説明資料をつくってもらいました。泣
メールで説明したもののなかなか取り合ってもらえず、このような資料を作成しました。2mmくらいは箔は切れてしまうことがあるのでご了承ください。みたいな話でしたので、このように10mmから20mmくらい切れてしまっているのがわかるようにして連絡しました。PDFでデザインデータも入校時にお送りしていたので、そのPDFと箔が切れてしまった現物の名刺写真すら見比べてもらえなかったのがとても悲しかったです。メールでも説明していたので見てもらえたらさすがにすぐ気がつくと思います。もちろん理不尽な要求であり、仕様上しかたのない現象でしたら妥協できるのですがここまで切れていたので再印刷か返金をお願いしました。何度やっても印刷ではいろんなことが起こります。
デザインは表面には縦書きの漢字をいれたデザインとして、裏面はロゴの箔断ち切りのデザインにしていました。
これがよくなかったのか裏面の断ち切りがうまくいかず、さらに裏面の色もどうも黒がうまくでなかった。この断ち切りがうまく行かなかったこともあり、再印刷でなく返金していただけることになったので、デザインを再考することにしました。
この時点では表面の縦書きや漢字だけが黒、英語の文字の際も近すぎる、裏面はそもそも自社のロゴを切ってしまっていいのか?みたいな違和感はありつつも2023年になってから再度デザインを模索していくことになります。
後になってみると、ここで失敗したのがよかったのかもしれません。実際印刷されて断ち切りの箔をみれたこともよかたです。
箔の断ち切りデザインは断念
箔と色、文字の際、断ち切りにまだまだ違和感があったので改善していくデザイン案をここからメンバーと作りながら検討していきました。まずは箔の断ち切りデザインは金額的にメンバー全員で展開するには厳しいと思い調整することになりました。(版をつくる初期費用もなく100枚で倍以上値段が違いました。)
黒紙で金箔にしてみたり
黒紙で銀箔や白インクを検討してみたり
白紙で全部を金箔にしてみたり
白紙で黒箔を検討したりしていきました。
ここで、まずは黒紙の全部金箔でいこうとおおよそ方向性を決めたのですが、裏面のレイアウトはもっと改善の余地がありそうだったので案をだしていくことになりました。
裏面のレイアウトを模索していく
裏面のレイアウトを模索する中で表面の縦書きの漢字はやはり一度削除し、両面のレイアウトを仮で確定しました。
このデザインは急に私の名刺がどうしても必要となったので、印刷することになりました。時間的にどうしても黒い紙で箔は難しかったので試しに白い紙でプリントの箔で急遽印刷しました。それがこちらです。
2023年2月20日:急遽印刷することになったVer.5.2
表面のデザインは良くなってきました。職種の名称の先頭を大文字の英語から小文字に変更して、名前との差別化をはかったので名前が少し立ってきました。さらにセーフティーエリアを再考し文字と際を少し距離をとってます。際が近いとそこに目がいってしまうので調整し良くなりました。
ただ表面のロゴの位置と裏面はまだまだ改善の余地がありそうだと感じ、調整を開始していきます。
2023年2月24日:表面のロゴの位置と裏面のレイアウトを更に模索していく
表面の文字組みや大枠のレイアウトはかなりよくなってきたもののロゴの位置が不自然だったので、黄金比のガイドを置き微調整しました。ちょうど黄金分割線にマークが乗るくらいにすると、中心より少し上に配置されたてめ視線が安定してきました。デザインはガイドから考えず、コンテンツの配置、ガイド、コンテンツ調整、ガイド調整と繰り返していきます。
表面が完成したので裏面を再考していきます。前回よりさらに裏面はパターンをだしました。
Ver.5.2はどうしても左寄りに見えてしまうので、ThikとRootをそもそもわけるのか?日本語はいれないのか?brand design companyと英語の文字はいれるのか?から再考していきました。
表面は縦のデザインではあるのですが裏は横組みにしてみたり
Think Root.を縦書きにしてみたり、左右に文字を振ってみたり
Think Root.を名刺の高さいっぱいにしてみたり。日本語の『「根っこ」を考える。』を縦書きにしてThink Root.と寄せてみてり。
このあたりのデザインからしっくりくる感じがしてきました。視線が入りやすい左に大きな文字でneccoのVisionでありブランドの核となる言葉のThink Root.を配置したことで正解に近づいた気がしました。
これを基準にしながらさらにデザインをつくっていきました。
多くのパターンをつくっているうちに上記のデザインでは現在neccoで行っている事業を記載する案がでてきました。このデザイン案がVer.6の原型になっていきます。
neccoのコーポレートキャラクターである箱猫をいれてみたりもしました。かわいい。
2023年2月26日:とにかく裏面を煮詰める
まずは左端に大きく「Think Root.」がはいったデザインで右側の業務内容と業務内容を3つにカテゴライズしたテキストを配置していきました。これは渡すメンバーと渡された方と少しでも、neccoの業務や自分の仕事の話しのきっかけになればと思いいれることにしました。シンプルにしておくのも捨てがたかったのですが、表面にしっかり余白をとったデザインにしていたので表と裏でテンションを思い切りわけたかったのが理由です。
表は白で箔、裏は黒で箔、色も思い切り反転させ、情報密度も反転させようと思いました。
現在neccoでは大きく8つの事業にわけていますが、行いっている大きな括りとしてはデザイン、エンジニアリング、コンテンツ制作の3つのためそこに納めるようなテキストを作成していれてみました。
ここから加速度的にパターン展開はすすんでいきます。
入れるテキストができてくると可能性は全部ためしてみたくなるのがデザイナー。「Think Root.」の位置を変えたパターンがさらに生まれてきました。このデザインではない。というのをとにかく出して見比べることで、頭や体でも良し悪しを理解してデザインの強度を上げていける気がしています。
業務内容のカテゴリーでもある Design、Engineering、Contentsが頭文字だけになったり、大文字だったり小文字だったり、線を縦に横にひいいてみたり、文字を縦にしてみたり。つくってみると見えてくるものがります。想像の中だけで完結はせず、つくってみてから考える。考えてからつくる。この繰り返しがデザインだったりするのかもしれません。片側だけでなく両側から考える。両輪を回すイメージです。
このテキストをつくるために、neccoがいままでつくってきた実績や自社を紹介する資料、メンバー全員のことを考えながらデザインやレビューをしていきました。
neccoのことを考え煮詰め、パターンだしをしていった結果、下記の4パターンまで絞りました。この時点でかなり最終形に近いところまできてます。類推する力をあげていくためになるべく2軸以上で考えるようにしてほしいと思っていて、このような3つの円をつくり自分が持つべき視点がわかる図を作成し共有しています。
これが今回の裏面のテキストに繋がりました。
デザイン案がある程度絞れてきて、見えてきたところで安心したのか、neccoお決まりの変なものをつくるメンバーがたくさん現れるころです。頭を絞って考え抜いてるところ、うまく脱力させてくれるのもメンバーの素敵なところです。変なデザインがいっぱい突然できていてびっくりしました。
桜みたいデザインや、プリン、サーモンの切り身、しいたけ、しめじ、サーモンのお寿司、ねぎ、白菜、よくわからないレインボーみたいなデザインなどなど、もうやりたい放題ですね。私はサーモンの切り身とプリン、しいたけが好きです。みんな上手です。
息抜きも束の間で裏面がよくなってくるとどうしても表面も良くしたくなります。裏面には業務内容とカテゴリーテキスト、線もうまく取り入れることができたので、表面もラインなどの要素をいれてうまく統一感もだしていきたい。そんな考えからメンバーそれぞれが働いてる場所を表示する、それとあわせてメンバーがどのあたりで働いているかもわかるようにしたいなと思いました。
それを伝えることのデザインを考えていき、パターンをだしていきます。「まだやるの!!!!!」とメンバーの心の声が聞こえてきそうですね。
数多くのデザインパターンを出した結果、
- 場所の情報は職種やメールアドレスとも少し遠い情報なのでメールアドレスの下には配置しないほうが良さそう
- 円やゴールドのベタで自分の働いてる場所を強調すると目立ちすぎるので避けたほうが良さそう
- tokyo, akita, remoteのテキストも職種と同じく小文字が良さそう
- 名前や職種は左寄せなので場所は右に寄せ区別してよさそう
- 場所は縦にして少し情報の重要度を下げる
- 線は場所と名前や職種と区切るように使うとよさそう
など、だいぶ考えがまとまってきました。
2023年2月28日:両面ともにデザイン案を絞り込み最終デザインを決定
まずは裏面の最終2案です。業務内容の細かいテキストは左寄せに、3つのカテゴリーテキストのデザイン、エンジニアリング、コンテンツの英語を全て小文字にするか、大文字にするか?の2択まで絞りました。
業務とそれをくくるカテゴリーはもう少し区分けしておきたかったのと、ラインで業務のリストをまとめていたので文字にも少し無機質な箱感がほしかったので全て大文字のデザインを選択しました。文字サイズでは主張はするがベースラインをgがとびでないようにして平坦なシェイプにしカテゴライズし見出し感を強めました。
表面は場所を表すテキストを縦にして、線も縦にいれるまではみえてきたのでいくつかパターンをだし検証しました。
最終的に場所のテキストの左にラインで名前側の情報とは区切りつつ、働いてる場所に・をうつことで自分の場所を表示するようにしました。最後にガイドをおいて場所のテキストの空きのバランスをとりました。
このデザインは場所が増えたらどうするのか?はクリアできていないのですが、おそらく数年はオフィスの場所が増えることはなさそうなのでそこは理解しつつもこのデザインで決定しました。
選定基準としては下記のような視点を持つようにして話しあいました。
- 現在のneccoを体現しているか?
- デザイン資産を彷彿とさせるデザインとなっているか?
- 使い続けられるか?
- デザインを作っている企業にみえそうか?
- 渡した時に話題の糸口にできるか?
- 渡された相手に拠点や働き方などが伝わるか?
- neccoがやってることがわかるか?
- 箱猫やおばけちゃんなど他の事業の名刺を持つ可能性も考えているか?
などを基準として選定し最終案を確定しました。
Ver.6最終デザイン
最終案はこちらです。最終デザインをFigmaである程度作成したら、イラストレータデータにデザインを反映して、文字詰めなど細かいところを調整していきます。メンバーの名前や職種、メールアドレスでも展開しチェックしていきました。
裏面の色は印刷間違いや微調整などを繰り返し3つの色の名刺ができてしまいました。
K100なのかリッチブラックなのかさらに深めるのか?など紙の種類でもかなり色のりは違うので色々ためせてよかったです。全員に展開したのは一番左の色になってます。ただこれも若干青みが入った黒になってるので、次回リニューアル時には再考する予定です。
neccoでの名刺制作Figmaでの全体像
このように左からはじめて、右に右に区切りながら進んで行くことがよくあります。
日付などもいれながら時系列でわかるようにしつつ、パターンをたくさんだしてブラッシュアップしていきます。
デザインがある程度みえてきたら各メンバーのデザインをIllustratorにおこして印刷してチェックしたりなどもしています。Illustratorでデザインを作成し、そのデータもFigmaに貼って他のメンバーのデザインと見比べたりしながら、文字詰めなどを細かくみて微調整、改善を重ねました。
Ver.6名刺の仕様とコスト
- [用 紙]エキストラヌーボ 301kg
- [刷 色]片面カラー
- [コーティング]コーティングなし
- [商品料金]2,300円
- [加工オプション]箔押し – 銅板: 無し/ 大きさ: サイズ(中)/ 種類: 金箔/ 両面
- [加工料金]2,600円
- [合計料金]4,900円(+送料200円 = 5,100円税込)
印刷は箔押しのデザインになってからずっと利用させていただいてるメガプリントさんにてデータ入稿して印刷をお願いしました!紙の厚みや種類、箔押しのクオリティーから考えてもかなり金額は抑えられているかなと思ってます。
背景色の調整や再印刷を経てからメンバー全員分を印刷しました。
Ver.6名刺デザイン完成写真
完成したので自分で写真も撮影してみました。
STAYFUL LIFE STORE(ステイフル・ライフ・ストア)さんで購入したお気に入りの名刺入れと一緒に撮影してみました。素敵なアイテムばかり揃ってますのでとってもおすすめです。店舗は三鷹、吉祥寺から行くことができますのでぜひ。
neccoの名刺デザイン創業からVer.6までの変遷
*写真の色味やサイズ感が違うのですが。。。再撮影や補正をみっちりやる時間が。。。(GWのタイムリミットです。)
次の名刺デザインへの挑戦
Ver.6.3の名刺は現時点では非常に満足しているのですが、裏面の色問題ともう少し厚みもほしいので、仕様として黒い紙の貼り合わせにしてさらに厚みをだす、小口を箔などにしてみる。(派手すぎ?)をやってみたいなーと思ってます。ただ、実験を重ねた名刺がかなりあるのでまた数年後のデザインリニューアルになりそうです。
AR名刺などもやってみたいので次はデジタルとアナログのハイブリット名刺みたいな感じにしていきたいなと思います。
今回の名刺づくりもメンバーとデザインを作成して、多くの失敗ができてよかったです。何か挑戦しようとすれば必ず失敗しますね。スキマ時間ではありましたが制作に数ヶ月ほどかかってしまいましたがなんとか完成しました。
この自社での失敗を糧にまたお客さまのデザインへより活かせるようにさらに励んでいきます!
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(2024年10月時点)
阿部 文人
Fumito Abe
東京都生まれ。オフィス仲介、外国人専用ゲストハウスなどの不動産業界にて自社ブランデング・ウェブマーケティングに従事。ウェブサイトの解析、広告運用、多言語サイトの制作を経験。その後、サンフランシスコにて語学留学を兼ね1年渡米。現地企業ECサイトの企画からCMS開発、デザイン制作なども担当。帰国後、2013年9月より秋田県内企業にてWordPressを中心にウェブサイトを多数構築。 2016年10月秋田県秋田市にて株式会社neccoを設立。WordCamp Kyoto 2017・WordCamp Osaka 2018・各地のJP_Stripes・JP_Stripes Connect 2019、CSS Nite LP64の登壇やAlexa Day2018・2019の運営など社外でも積極的に活動中。 好きなものは猫、読書、建築、Apple。2匹の猫と仲良く暮らしています。