necco Note
デザイン、経理の仕事と服飾学校を両立しながら製作した衣装作りのスケジュール公開
- Apparel
アドベントカレンダー6日目の担当は、経理・アシスタントデザイナーをしている安達です。
昨年新卒で入社し、neccoで働きながら夜間の服飾学校で服作りの勉強をしています。
大学時代から服作りが好きで、所属していたダンスサークルの衣装を製作していたのですが、卒業後も友人から衣装作りを頼まれることがあり、仕事や学校と両立しながら今年は25着の衣装を作りました。
今回は9月から10月にかけて約1ヶ月で6着の衣装を製作した時のスケジュールや製作過程について書いていきます。製作過程を通して、最近のお洋服作りの工夫や楽しさ、試行錯誤していることもご紹介します。
ぜひ最後まで読んでいただけるとうれしいです。
こちらは実際に製作した衣装です。
白のジャガード生地をメインに使い、可愛らしく、華やかさのあるデザインを目指しています。
襟元や裾には布量をたっぷり使ったフリルを取り入れました。
トップスについているキルティング生地のリボンは、メンバーの体型に合わせて位置を変えることで、スタイルが引き締まるよう意識しました。
概要とスケジュール
概要とスケジュールは下記のとおりです。
- 製作着数:6着
- 製作期間:2024年9月15日〜10月14日
- 衣装の使用目的:10月14日にある社会人サークルのダンスイベント衣装として着用。
- デザインの要望:各々の体型にあわせて、形を変えてほしい。白をベースとした衣装。
スケジュールについては、メンバーごとにスカートの丈の長さを調整したり、袖の形をパフスリーブと肩空きの2パターンにしたりと体型に合わせて製作したので、最後の方はかなりつめつめとなってしまいました。
特に大きく時間がかかってしまったのは
- 型紙調整
- フリルの作成
でした。
この沼ったポイントに焦点をあてながら、今回の服作りの工程について解説していきます。
1. ベース作成期間 : デザイン案作成〜基準の型紙作成
友人にどのような衣装が良いか、デザイン、何に使うかなどをヒアリングし、製作概要を整理します。
ヒアリングした内容をもとに、参考調査を行いながら、スケッチブックにデザイン案を描いていきます。
デザインの参考を探す時はアイドル衣装製作をしている方のInstagramを見たり、Pintarestで海外ブランドのコレクションを見たりしています。
袖はパフスリーブの場合と、肩が空いている場合の2パターン描いています。
スカートは裾あたりに目が行くようにし、トップスはフリルやレースをアクセントとして使い余白ができないようにしつつ、着痩せしてみえる形を意識しました。
デザイン案の作成は、シルエットや装飾、布のイメージを整理するメモに近いです。製作を進めるなかで変更していく箇所もあるので、実際にできた衣装とは違っているところが多いかと思います。
ある程度、デザインの方向性が決まったら、基準サイズの型紙を作ります。
型紙作成は洋裁CADといわれるパソコン上で型紙をひくソフトと手描きの両方を組み合わせています。
洋裁CADは無料のソフトを使っているのですが、滑らかな曲線をひいたり、細かい調整をしたりするのは手書きの方が早いので、組み合わせる方式で行っています。
完成したらパーツごとに別の紙に写し取って型紙を作ります。
型紙ができたら、大体の布量を計算し、材料を調達しにいきます。
今回は白がベースとなるので安っぽくない華やかさのあるものを買いたいと思い、日暮里の繊維街にある「トマト」という生地屋さんにいきました。「トマト」は生地の種類が多く、安い値段で揃っているのでよく利用しています。
今回は写真の真ん中にある白い生地を9m購入しました。電車で日暮里まで行ったので、帰りは持って帰るのが大変でした。
生地の調達ができたら、トップスの仮縫いをします。
作成した型紙どおりに布を切って、試し縫いをし、シルエットや布の余り方が不自然じゃないかを見ていきます。
そして仮縫い状態の衣装ができたら、1度メンバーに試着してもらいました。
2. 体型に合わせた調整期間 : 型紙調整→縫って検証を4回繰り返す
メンバーに試着してもらい、基準サイズよりもどのくらい調整する必要があるかがわかったので、体型にあわせた型紙を追加で作成しました。
また、布に厚みがあり硬い生地だったため、胸元に変な丸みがでてしまい、腕をあげた時の形に違和感がありました。そのため、トップスの型紙を見直して検証をしながら調整を進めました。
トップスの型紙は当初、3パーツの予定でしたが、絞るために4パーツに変更しました。
写真は2回目の検証で作成した仮縫いのトップスです。胸元、背中はスッキリしたのですが肩線の位置がずれてしまったため、肩の縫いを解いてどのくらい足した方が良さそうか確認しました。
シルエット的にすっきりとスタイルよく見せたかったので、変な布の余りがでないよう絞り方を考えるのが難しく、トップスについてはバージョン4まで型紙調整→縫って検証を繰り返しました。
3. 縫製作業期間 : フリルの作成で沼る
型紙ができたので、ようやく全員分の布を裁断し、縫う工程になります。トップス、スカート、袖の順番で縫製を進めました。
トップスは型紙の調整で何度か仮縫いをしていたので順調にできたのですが、スカートについてはフリルの量が思っていた以上にいることがわかり、布を買い足して作り直すことにしました。
1回目に作成したものはギャザーの分量が足りておらず、ただ布を付けただけになってしまいました。
分量を増やしたことで、1着あたり6mの長さの布を使いました。合計で36m、ギャザー寄せミシンをかける作業は大変でしたが、布をたっぷり使ったことで、デザイン通りのシルエットができたと思います。
シルエットが完成したら、装飾をつけていきます。
装飾については時間が足らず、予定していたデザインでは間に合わないため、リボンの追加だけに変更しました。
リボンの大きさや個数は実際にトルソーに置きながら検証をしました。四角く切った布を輪ゴムで止めて、仮のリボンをつくり、衣装にとめています。
リボンがないと物足りない印象だったのですが、赤をいれることで雰囲気が一気に変わりました。
下の写真は、リボン作成後に置く位置を試しているところです。
前のリボンは安全ピンで取り外しができるようにし、当日着た時に位置を確認しながら、スタイル良く見えるところにつけてもらいました。
また、後ろ姿もかわいくしたかったので、メンバーごとに色違いのリボンをつけました。
最後はメンバーにも襟元のレースやリボンをつける作業を手伝ってもらい、なんとか完成できました。
予定より時間はかかってしまいましたが、シルエットがデザイン通りにでき、シンプルだけど華やかさもある衣装にできたかなと思います。
完成した衣装の写真
メンバーそれぞれ体型は違いますが、型紙を調整したことでシルエットに統一感を出すことができたと思います。
最後に
踊った時にきれいに見せたいという思いで、何度も型紙を作り直して最後までこだわって作成しました。時間がかかってしまいましたが、同じようなシルエットをだすという目標は達成できたと思います。
型紙の作成は毎回試行錯誤をするところなのですが、完成したときにデザイン通りにできるとうれしくて達成感があります。自分のイメージしているシルエットが作り出せるよう、型紙の作り方についてもっと勉強をしたいなと思います。
また、今までは大学時代のサークルの延長でダンス衣装を製作していたのですが、普段着るアパレル向けのお洋服にも今後挑戦したいなと思っています。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
安達 友香
Yuka Adachi
東京都生まれ。 中央大学商学部を卒業。2020年3月からneccoで経理のアルバイトを開始し、2023年に入社。大学でのサークル活動で洋裁にハマり、自分で洋服の作り方を調べ、大学在籍中に100着以上のダンス衣装を製作。2023年から文化服装学院服飾専門課程Ⅱ部服装科に在籍。neccoの経理担当兼ファッションデザイナーになれるよう、日々勉強中。好きなものは、洋裁、フルーツティー、春雨、韓国、カフェ、ディズニー。